
「園長ぶつぶつ会」は保育や子育てについて、肩肘張らずに、またさまざまな視点から、園長が“ぶつぶつ”とお話しする会です。
今回は、ちょっといつもとは趣きをかえて、園長一人ではなく、ママさん弁護士さんの田巻紘子さんをお迎えして行われました。
テーマは
「わたしたちの子育てや生活とケンポウってつながってる?」- 子育てと日本国憲法 -
私たちの子育てや教育という身近な日々の生活と、日本国憲法の関係について、皆さんとともに考えたり、感じたりする機会を持ちたいと思ったからです。
「ぜひ聞きたいと思っていた!」という保護者の方もいるかも知れませんが、ひょっとして多くの保護者の皆さんにしてみれば、
「え、なんで日本国憲法?」
「子育てに関係あるの?」
「なんか、かた苦しい話し?」
と思われるのが当たり前かもしれません。
でも、そんなふうに感じられるのは、ほんとうはそれが無くなったり、汚れたりしたら生きていけなくなったり、生き苦しくなってしまうのに、普段はその存在を意識することの少ない、例えていうなら、空気や水のようなものだからだと思います。
日本国憲法は、戦後の日本をどういう国にしていきましょうという、“みんなのお約束”を定めたものです。だから実は私たちが当たり前の生活を送っていけることを、陰に日向に支えているとても大切なものなのです。たとえばそれは、
私たちや子どもが、自由に話し合ったり、歌ったり、書(描)いたりして表現できることも、
私たちや子どもが、友だちや仲間、または初めて出会った人たちと、自由に集い、楽しむことも、
私たちや子どもが、自分の好きな勉強をしたり、自分のなりたい職業に就けたりすることも、
私たちや子どもが、食べることに困ったり、不当な貧しさや、暴力から守られていたりすることも、
私たちや子どもが、自分の願う生活のために、政治家を選んだり、裁判をしたりすることも、
私たちや子どもが、とんでもない独裁者によって、安全で自由な暮らしを奪われないことも、
私たちや子どもが、意に反して戦争に行き、命を奪われたり、奪ったりしなくていいことも、
こういう当たり前のことは、それが他の人の幸せを犯さない限り、全て“みんなのお約束”として、日本国憲法があるからなのです。なんか、日本国憲法って頼りがいがあるような感じがします。
ところがどうしたことか、最近は、戦後70年以上にわたって変わることのなかった、この素敵な“みんなのお約束”日本国憲法を、けっこう大幅に変えてしまったらどうかということを言い出す人たちがいて、ひょっとしたらひょっとするかも…という現実味を帯びてきています。
これってどうなんでしょう?
「“お約束”、もうそろそろ変えちゃったほうがいいんじゃない?」
「いやいや、今までみんなで守ってきた“お約束”、やっぱ変えたらまずいんじゃない?」
「少しだけならいいかも?」
「ここだけは、変えちゃったらやばくない?」 etc. etc. …
…こんなふうに、なんか偉そうな人たちが、今いろいろな意見を言っているのです。
でもちょっと待って!!
そもそも日本国憲法って、わたしたち国民全員の大切な“みんなのお約束”です。だから、そのお約束をどうするのか、まずはわたしたち国民の一人ひとりが、みんなで話し合っていくことが出発点じゃなければおかしいと思います。
今までは、日本国憲法は空気や水のように、知らないうちに私たちの生活を支えてくれていたらしい。
でもその空気や水のようなものの成分が変わってしまったら、私たちの生活にどういうことが起こるのか? 起こらないのか? 世界で一番大切な子どもたちの未来は?
というわけで、今回の「園長ぶつぶつ会」は、まだまだ日本国憲法勉強不足の園長と、ママでありながらも法律のプロである田巻弁護士さんのトークを通して、日本国憲法の“基本のキ”を知ろう!そしてそれが子育てや生活にどのように関係してくるのか、ママ目線を大切にしながら考えていこう!というわけで、なるべくかた苦しくならないように!行われました。
今回は、園長が会場のいろいろなところにマイクを回し、みんなで意見を言いながら考えていきました。
園の保護者はもちろん、外部からもたくさんの方にお越しいただき、いろいろな方の意見を聞く機会になりました。
もっとたくさんの方に参加いただきたい、そんな会でした。
どうもこの国では「政治のことを話す」ということ、またそれを学ぶということなどが、ネガティブに捉えられがちです。
もっと気楽に、みんなで話せたらいいのにな、と思う機会にもなりましたよ。
またの機会には、ぜひご参加ください!
ユウシ