朝、受付後、いつものように、普通に遊ぶこどもたち。
今日でお別れ、なんていう実感は、あんまりないと思います。
大人だって、実感がないくらいです。
卒園式の間は、写真がありませんが、晴天の下での屋外の卒園式。
最高でした。
式後、最後のクラスの時間。
おうちの方に言葉を贈ったり。
PTAの方に、花束やサプライズをいただいたり。
こどもたちから担任への歌のサプライズもあったり。
いい時間でした。
そして、最後は花道を通って送り出します。
おめでとう!
今日は、終わった後、泣いている子たちが、たくさんいましたね。
始まる前は、理屈の上では「今日で最後」とわかっていても、たぶん、あんまり実感がないと思います。
でも、式の中で、だんだん、本当に最後ってことが、わかってくる。
多くの子たちにとって「これでお別れ」という時間も、たぶん、人生で初の経験なのではないでしょうか。
だから、別れのさびしさだって、今まで体験したことのないものなのかもしれない。
今日、途中で感じ始めた気持ちも、人生初の、心の動きを経験したのかもしれない。
なぜか流れてくる涙が、どんな気持ちなのか、自分ではわからない、大人が聞いても、言葉ではうまく伝えられないものなのかもしれない、そう思います。
本人も、なんだかわからない、初めての心の動きに、戸惑いながら、ある子は泣き、ある子は大声を出し、ある子はすねたような態度を取り、ある子は親に甘え…
それぞれが、戸惑いながら、自分を表していたのかもしれません。
それが、お別れなんだ、と、今日、初めて知ったのかもしれません。
幼稚園で、これまでいろんな気持ちを経験してきました。
最後は、別れのさびしさも、新たに。
人生は、出会いと別れを紡いで、進みます。
タンポポが育ち、綿毛になって飛び立ち、またどこかで花を咲かせるように。
それを繰り返し、命を営んでいくように。
あるいはその命が終わっても、受け継いで、繰り返していくように。
「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」
こどものみならず、保護者にも、先生にも、寂しい気持ちは、誰にもあるけれど。
でも、私たちは誰もが、未来に向けて、進みます。
新しい場所に。
それは、祝福されるべきことです。
だから、おほしさまぐみ 75名の皆さん、卒園、おめでとうございます。
これからも、楽しく、自由に、生きていってね!
それでは、また明日、じゃないけれど。
そのうち、またね!
園長
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★本日の園長式辞★
おほしさまぐみ 75名の皆さん 卒園おめでとうございます。
今日はとってもいい日だね。
おひさまもあったかいし、風もきもちいい。
春になったね。
春は、虫やトカゲやヘビたちも、目を覚まして土から出てくるし、きれいなお花もたくさん咲くね。
タンポポの花も、咲くだろうね。
みんなは、タンポポの花は好きかな?
みんなは、知ってたかな。
みんなの着ている、幼稚園の制服。
胸のところについているエンブレムに、タンポポの綿毛がついていること。
その絵は、実は、今日のきみたちのことを、描いているんだよ。
幼稚園の、にじぐみの横の階段のところにある大きな絵を見たことがあるかな。
エレベーターの前にもあるよ。
そこにも、同じように、綿毛になったきみたちが描かれているよ。
タンポポはね。
実はすっごくすっごく、大きな花なんだ。
1メートル以上になるんだよ。
そんな風に見えないでしょう?
どこがそんなに大きいかと言うと、実は、地面の下の根っこです。
目には見えない地面の下の根っこが、50センチ、1メートル、時には園長先生より大きな2メートルくらいの長さになるんだよ。
タンポポは、目には見えない、その根っこに、毎日毎日、土や、お日様や、雨の栄養をいっぱいためて、ためて、ためて、そして、そのうち、そのパワーで、きれいなお花を咲かせるんだ。
そして、お花が咲いた後は、綿毛になって、風に乗って、新しい場所に、飛び立っていくんだよ。
それが、きみたちみたいだね。
なぜって、今まで、みんなは、幼稚園で、毎日いろんなことをしたね。
ままごとやドッヂボール、折り紙に、園外保育。いっぱい遊んだね。楽しかった。
バトンタッチリレーや秋祭り、発表会の劇は、悔しかったことも、大変だったこともあったけど、みんなで頑張って、全部の力を出せた。とっても素敵だったよ。
そんな毎日は、目には見えないけれど、きみたちの心の中に、大きな根っこを作ってくれたよ。
「楽しいことや大好きなことを見つけた!」「がんばることって素敵だ!」「仲良くすると楽しい、嬉しい!」そして、「そんな自分が大好き!」っていう、根っこだよ。
そうして、みんなはこんなに大きくなった。
運動会も、発表会も、まるで、立派な花が咲いたみたいだったよ。
そして今日、みんなは、綿毛になって、新しい世界に飛び立ちます。
今日、みんなは、その胸に描かれた姿になったんだよ。
その綿毛になったみんなが、あさひこ幼稚園を離れて、新しい場所、例えば小学校に着地したら、また、ワクワク素敵な毎日を過ごして、大きな根っこを育ててね。素敵な花を咲かせてね。
みんななら、きっとできるよ。
小学校で花を咲かせたら、また綿毛になって、中学校へ。
もっと大きくなるにつれ、何度も花を咲かせては、新しい場所に飛び立って。
ワクワクするね。楽しみだね!
さて、みんなは、これから新しい場所に旅立っていきます。
園長先生は、ここにずっといます。
ここは、きみたちの幼稚園だから、遊びに来たくなったら、いつでも、おいで。
綿毛みたいに、ふわっと、おいで。
もうちょっと大きくなってからでもいいし、みんなが幼稚園の先生になってもいいし、お父さんやお母さんになったら、きみたちのこどもといっしょに、またあさひこようちえんにおいで。
園長先生は、おじいさんになって、待ってるよ。
約束します。
この約束をもちまして、園長先生よりの、お祝いの言葉とさせていただきます。
卒園、おめでとう。
そして、さようなら、またね。
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(幼稚園に飾ってある、あの絵のタイトルは「To The Future」です。そう、未来へ!)