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あさひこ幼稚園の毎日

あさひこ幼稚園のブログです。毎日更新、園の日常をお知らせします。

ゆいちゃんの沼

今朝、こんなニュースを知りました。

地元岡崎市の岡崎観光伝道師として、2019年以降、卒園生の佐野勇斗くんが活躍していますが…
今回、「2023観光大使おかざき」に、卒園生の塩沢ゆいさんが選ばれました♪

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卒園生の活躍、嬉しいですね♪

このゆいちゃんには、「ゆいちゃんの沼」という、まさに、あさひこ幼稚園の環境教育を表したようなエピソードがあるのです。
今日は、観光大使おかざき就任記念♪ということで、懐かしい思い出を振り返りながら、改めて幼児期の自然体験(環境教育)について思いを馳せてみたいと思います。

「ゆいちゃんの沼」

もう、15年ほど昔の話になるのですね。
あさひこ幼稚園 年長 5歳児の女の子「ゆいちゃん」が、幼稚園での園外保育で山の沼に遊びに行った日、おうちに帰ってお母さんに語った内容を、そのままお母さんがメモしてくれました。

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きょう えんがいほいくでね
すっごい ぬまに はいったんだよ
ぬまにおいた はしを じょうずにわたったよ

ゆい

ふといのも ほそいのもあったけど ぬまのそこにしずまないように あしで ちょんちょんってさわって しずみそうなのは わたらなかったよ
あしでさわらないでいくと ずぼって はまったよ

ゆい2

さいしょに はまったときは なんかいやな ぬるぬるの へびでもはいって ぬまのおくのほうの かっぱに ひっぱられているかんじだったよ
でも だんだんなれて ずぼっとはいるのが すっごくたのしくなって はしなんかわたらないで ぬまをわたったよ
ゆいのながぐつが ぬまにはいって ぬけなくなったときは 「おっとっとー」って おしりまで はいっちゃったよ
「たすけてー」っていったら おともだちが 
きてくれて ゆいがながぐつをもって さえちゃんが ゆいをひっぱって れいなちゃんが さえちゃんをひっぱって おおきなかぶみたいに やっとぬけたよ

ゆい3

でもね そのぬまは こうじで ごみとか つちがすてられて うめたてられちゃうんだって だから ふじぐみさんが ぬまで たのしめるのも さいごなんだよ
ぬまには ゆいたちだけじゃなくて いのししがくるよ
からだについた むしや ごみをおとしにくるって えんちょうせんせいが おしえてくれたよ
でもさ ぬまがなくなったら ぬまがだいすきな いのししは あさおきたときに かなしいきもちになるし びっくりするよね
ちがうぬまが みつかるかな
ちがうぬまが みつかって そこになれて はいっていても またこうじになったら ひっこさなきゃいけないよね
ゆいが いのししだったら ないちゃうよ
ゆいは ぬまがなくなることが ほんとにかなしいよ
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この沼は、もうありません。
この直後に埋められ、今は、村積山のソーラーパネルに続く道になりました。
園長の僕自身、幼い頃から何度も遊び、テントを張って宿泊もした、沼と、その広場でした。
ゆいちゃんは、「自分」と「イノシシ」を、「こっち」と「あっち」に分けて考えていません。
同じ沼を楽しんで、感じ、同じ場所にいるように感じています。
沼は、経済的にはなにも生みださない無駄なものかもしれません。
でも、ゆいちゃんはその沼を通して、「自然と自分は分けて考えられない、一体のもの」という感性をもらっています。
その感性こそ、ゆいちゃんがその後に生きていく中で、環境問題にアプローチしていくときの、豊かな「根っこの感性」になっていくのです。
つまり、「自分と自然は一体のもの」「自然が好き(親しく、近しく感じる)」という感性です。
その感性をもとに、自分ごととして、環境問題に取り組めるようになってくれたら、と思います。
五感を使った直接の自然体験こそが、幼児期の環境教育と言える理由です。

そして、次が、小学校に進学して遠足に行ったゆいちゃんが、今度は自分で書いて、当時の園長にくれた手紙です。

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えんちょうせんせいえ ようちえんに しょうがっこうぐみを つくってください
ゆいは おやまのえんそくに またいきたいです
がっこうのえんそくは こうえんで ゆいのいきたい えんそくじゃなかったよ
こうえんのぶらんこじゃなくて おやまにある きのぶらんこのほうが ゆいはすきだよ
おやまにいくと なんだか きもちよくなるんだよ
こころも はずむよ
だから しょうがっこうぐみを つくってください
ゆいは おやまで いろんなものを みつけたり さわったり たべたりする えんそくがすきです
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(小学校の遠足を批判するような意図はありません)
沼を埋め立てる事で、その土地の経済的は上がったのかもしれません。
でも、そこで失ったもののことにも、少し思いを馳せてみます。
(沼を埋め立てた道が、エコ的な目的もあって山に建てられたソーラーパネル群に繋がっている、というのは、複雑な気持ちを思い起こされます。ソーラーパネルの設置は決して間違いではないでしょうし批判する意図もありません。でも、環境問題に対して一般的に価値の高いと思われるソーラーパネルの設置のために、イノシシや、こどもたちが長い間親しんできた沼は失われていったのです。物事は、表面のシンプルさだけではない要素を持っているものですね)

ゆいちゃんは、五感を使って自然と繋がって一体感を感じることが、自分の楽しさや心地よさの根本にあるという感覚を、確かに得たのです。
幼児期に得たその感覚は、こどもが大きくなり、いろんな価値観に触れ、人工的なものや文化、文明的なものの魅力に触れ、さらに豊かになっていく経験と感性の中でも、ずっと消えずに残り続けてくれる「センス・オブ・ワンダー」だと、信じています。

その感性、感覚をもって大きくなったこどもたちが、いつか大きくなって「環境問題」に対していくのなら、きっと、人間の未来も、希望をもって想像できる。そんな気がします。

ゆいちゃんのくれた手紙には「幼児期における環境教育」のために何が重要なのか、そのヒントがたくさん詰まっていたのです。

これからも、あさひこ幼稚園では、たくさんの豊かな自然体験を、楽しんで!遊んで!やっていきたいと思います。

さて、ゆいちゃん、観光大使、楽しんでねー!!

園長
 

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